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スペシャリストレポート アナリスト雨夜のFXコラム 為替アナリスト 雨夜恒一郎

為替アナリスト雨夜恒一郎氏が、独自の視点で今後の為替相場を展望します。
更新日:毎週月曜日・水曜日・金曜日

80円トライも、超えられなければ一旦反落も

更新日時:2012年02月22日 9:21

【ドル円】80円トライも、超えられなければ一旦反落も
■月曜日の朝方は、中国の預金準備率引き下げや、本邦貿易赤字拡大観測を背景に円売りが先行し、シドニー市場で一時79.89円付近と昨年8月4日以来の高値を示現。しかし節目の80円手前では利益確定売りやオプションがらみの防戦売りが厚く、79.40円付近へ押し戻されました。1月の通関ベース貿易収支は1兆4750億円の赤字と前回の2051億円から赤字が大幅に拡大したものの、予想の1兆4563億円とほぼ一致したため、新たな反応は見られませんでした。昨日も同じような展開で、ギリシャ支援合意を受けた株高連鎖期待から79.85円付近と上値を試したものの、やはり80円のカベは超えられず。市場全体に材料出尽くしムードが広がったことから79.65円付近へ小反落しました。

■ギリシャ支援合意に関しては予想通りの展開ということでサプライズはなし。ただギリシャの無秩序なデフォルトがひとまずなくなり、不透明感が後退することは間違いありません。米国株も昨日は伸び悩んだとはいえ、ダウが一時2008年以来の13000ドル台をつけるなど堅調地合は維持。米国10年債利回りもしっかり2%台に乗せてきています。リスク選好の回復を受けた円売りと米国長期金利上昇を背景としたドル買いにサポートされ、引き続き80円の抵抗線を試す展開を予想します。

■ただ市場も円安転換のシナリオにまだ確信を持っていないことも確か。海外勢の間では、日本の対外収支の悪化と日銀の金融緩和を受けて相場は円安に転換したとの見方が増えているものの、長年の円高に目が慣れたわれわれからすると、そう簡単には相場観を切り替えられません。筆者も、中長期的には円安を予想しているものの、このステージで一気に80.00/80.25円の抵抗線を一気に突破するのは厳しいような気がしています。もし今日も80円トライに失敗するようなら、短期筋が一旦退却し、78円台へ反落する可能性も想定しておくべきでしょう。

■また2月は米国債の利払い・償還に伴う円転やリパトリ、年度末を意識した輸出企業の先物予約確定、機関投資家のヘッジ率引き上げなど、需給的には円が買われやすい時期でもあります。80円台の攻略にもたついているようだと、円安ムードもすぐに冷めて現実に引き戻されてしまう可能性があります。せっかく盛り上がってきた円安・株高の流れが立ち消えにならないように、今日・明日にも80円を一気に突破してもらいたいと、個人的には願っています。

【欧州通貨】材料出尽くしも、予想以上に底堅い
■ユーロは、昨日のアジア市場では、ギリシャ第2次支援をめぐるEU財務相会合が長引いていたことから一時1.3190ドル付近、105.05円付近へ下押ししましたが、昼前に合意のニュースが伝わると、一時一時1.3290ドル付近、106.00円付近へ上昇しました。しかし欧州市場では材料出尽くしの反応となり1.3200ドル付近、105.15円付近へ反落。NY市場ではダウが序盤に上昇したことから再度上値を試したものの、1.3275ドル付近、105.85円付近で頭打ちとなりました。

■ギリシャ第2次支援合意を受けて、実は材料出尽くしでもっと下がるかと思っていたのですが、意外に底堅い動きでした。積み上がったユーロショートが下値では予想以上にしこっているのかもしれません。ギリシャ政府の財政緊縮の実行を不安視する向きもありますが、これでギリシャの無秩序なデフォルトが当面回避され、欧州債務問題に一つの区切りがついたことは事実。欧州の信用秩序も徐々に修復され、ユーロ圏から逃げ出していた資金が戻ってくる可能性が高いと楽観的に見ることも可能です。

■2月29日にはECBが第2回目の長期リファイナンスオペを実施しますが、これも良い方に解釈すれば、数千億ユーロもの潤沢な長期資金が供給されることにより、金融機関の資金繰りが改善し、欧州周縁国の国債利回りの低下が促されると見ることもできます。リスク資産に資金が染み出し、株価が上昇すれば、リスク選好型のドル売り・円売りによってユーロが押し上げられるという展開も考えられます。

■というわけで、当面は一進一退を続けながらも、下値を切り上げる局面が続くというシナリオに修正。対ドルは今日明日で1.33台を再度トライする可能性が高いと見ています。対円は、ドル円が80円を突破できるかどうかによって上昇余地も変わってきますが、リスク選好の流れに乗りじり高の展開が続くと予想します。

【資源国通貨】材料出尽くしで短期的な下値リスクあり
■豪ドルは、週末に中国が預金準備率を50bp引き下げたことを受けて、月曜日の朝方は1.0815ドル付近、86.35円付近まで急騰。しかしその後は利益確定の売りが優勢となり、昨日はギリシャ第2次支援合意を受けた材料出尽くし感もあり、1.0655ドル付近、84.90円付近へ下落しました。

■ギリシャ支援合意を見越して買われてきただけに、ユーロよりも材料出尽くし感は大きかったようです。対ドルは前回高値の1.0845ドル付近を抜け切れなかったこともあり、一旦調整局面に入ってもおかしくないところ。直前安値の1.0630ドル付近を割れてくるようだと、さらにロングの落としが強まる可能性もあります。対円も年初からすでに10%超上昇しているだけに、短期的には買われ過ぎ感があります。

■ただ、趨勢としては明らかにリスクオンの流れにあり、中期的な上昇トレンドに変わりはないと見ています。昨日豪準備銀行が公表した議事録(2月7日開催分・利下げ見送り)では、「欧州債務危機によるリスクがある程度後退し、国内景気の腰もしっかりしていることから、金利設定は適切だと判断した」と指摘していました。ギリシャのデフォルト回避で欧州の債務問題が当面下火となっていくとすれば、豪準備銀行の利下げも打ち止めとなる公算が高まるでしょう。日米欧が金融緩和競争にまい進する中、景気・財政とも健全で金利も高い豪ドルは、投資家にとってやはり魅力的です。

■また円高に一服感が出たことで、個人投資家の資金が投信や外債に向かいやすくなっていることもサポート要因です。昨日のロイターの記事によると、2月に入って設定額が1000億円を超える豪ドルがらみのファンドが登場しているとのこと(投信の新規募集に個人マネー戻る、分配型豪ドル債投信で大型設定 http://bit.ly/wAIn78)。日経平均が一時9500円を回復し、個人投資家の懐が少し暖かくなっているのもポイント。材料出尽くし・利益確定の売りで下げた局面をとらえ、押し目買いスタンスで臨みたいと思います。

為替アナリスト 雨夜恒一郎

雨夜恒一郎

20年間以上、外資系大手銀行の外国為替業務要職を歴任。
「ユーロマネー」誌における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴を持つ。在籍時から各種メディアのコメント多数。フリーランスの現在、独自の鋭い視点で為替相場の情報を提供中。

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