ウィークリー・コラム

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マネックス証券為替ディーラー
高野 進吉 ウィークリー・コラム
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高野 進吉 (当社為替ディーラー)

高野 進吉 (当社為替ディーラー)

1991年から外国為替市場に携わる古参の為替ディーラー。短資会社で身につけた為替に関する深い鑑識眼と、長年の為替ディーリング経験を活かし、簡潔でわかりやすいマーケット分析を皆様にお届け。

メキシコペソ(MXN)

更新日時:2018年1月12日 10:00

今回は新たに取引できる予定の通貨ペアの中から、メキシコペソ(MXN)に注目したい。

メキシコは正式国名をUnited Mexican States(メキシコ合衆国)という大統領を国家元首とする連邦共和制国家で1億2千万人超の人口を有する。
MXNは1994年の米国金利上昇に伴う資金流出圧力によって1994年12月にそれまでの固定相場制から変動相場制に移行した。それは、かの有名なメキシコに端を発する新興国通貨危機のきっかけとなった。
また1994年1月北米自由貿易協定(NAFTA)発効以降輸出全体の80%以上はアメリカ向けである。その為アメリカの動向に左右され易い。

メキシコ銀行(中央銀行)

メキシコ銀行(Banco de México)はメキシコの中央銀行であり、憲法でその運用と管理の独立が定められている。銀行法は「メキシコ銀行の主要な目的は国内経済に国内通貨を提供することであり、通貨の購買力の安定を追求することが最優先される。またその他の目的としては、金融システムの健全な発展および決済システムの適切な機能化がある。」と定めている。

2017年政策金利推移

TA20180105_MXN_RATE.png

金融政策は総裁1名・副総裁4名の合計5名で決定する。2017年に8回会合が開かれ、政策金利である翌日物貸出金利目標を5回引上げた。

メキシコ銀行と財務省のメンバーからなる外国為替委員会が為替介入の決定を行う。

TA20180105_MXN_スケジュール.png

会合は2018年も8回予定されている。その度に声明が出され、会合の2週間後に議事録が公表される。年に4回「四半期レポート」を発表する。

メキシコのインフレ率

2017年、MXN安を背景にメキシコのインフレ率は大幅に上昇した。
メキシコ銀行は利上げと為替介入でインフレ抑制を試みているがその流れを止められずにいる。

メキシコ 消費者物価指数(CPI)前年比

TA20180105_MXN_CPI.png出所:トムソンロイター

メキシコの経済成長率

2015年に一時は前年比4%近くの伸び率だったGDP成長率が2017年に入り急速に伸び悩み、MXN安の一因となっている。

メキシコ GDP前年比

TA20180105_MXN_GDP.png出所:トムソンロイター

2017年メキシコペソ/円(MXN/JPY)の主な動き

TA20180105_MXNJPY.pngMXN/JPY 日足(出所:Bloomberg)


トランプ米大統領誕生

2016年11月のトランプの米大統領選勝利によりMXNは大きく下落した。大統領選挙前からトランプのメキシコへの風当たりは強く、NAFTAの見直しなどことあるごとにメキシコを槍玉にあげMXNは大きく値を下げた。年が明けて2017年1月3日に米自動車大手フォードがメキシコへの投資を撤回することを表明したことでMXNは再び下落し始め対USDでは史上最安値を更新した。MXN/JPYも市場安値に迫った。
メキシコ為替委員会は1月5日にドル売りペソ買い介入を実施しペソ下落に対抗した。
結局、MXN/JPY は1月18日が2017年の安値となりそこから徐々に切り返した。
トランプ大統領就任後は、既に悪材料が出尽くした中で米大統領の政権運営能力に懐疑的な見方が広がりUSDの下落がMXNを押し上げた。

NAFTA再交渉

2017年5月18日に米通商代表部はNAFTAの再交渉を米議会に通知、カナダを交えた再交渉が8月にスタートした。回を重ね既に5回の交渉を行ったが、強気のアメリカとの溝は深いまま先行きが不透明なことがMXNの上値を抑えている。

政治スキャンダル

2017年12月21日与党・制度的革命党(PRI)元財務担当者が公金の不正横領容疑で逮捕された。2018年7月に総選挙、9月に大統領選を控えた時期の与党の政治スキャンダルでMXNは大きく値を下げた。

2018年MXNの注目すべき点

2018年3月まで延長されたNAFTAの再交渉は予断を許さない状況が続き、交渉が妥結せず最終的に破棄の可能性を残している。一方、交渉期間を延長したということは双方で合意点を見出したいという意志の現れともとれる。交渉の行方は見逃せない。
2018年7月にメキシコ総選挙が行われ、元老院議員(128議席)および代議院議員(500議席)を選出する。9月には大統領選が行われ与党PRIの候補者が勝利できるか否かに注目したい。
現在与党であるPRIは、2017年に行われたメキシコ州知事選挙では僅差で勝利したとはいえ大苦戦した。加えて、PRIの元財務担当者が公金の不正横領容疑で逮捕されたことは、大きな痛手だろう。選挙が近づきその結果に対する不透明感が増した場合はMXNの波乱要因となろう。

楽観的な話題に乏しいMXNではあるが、先行きが不透明なだけで結果が出れば悪材料出尽くしで切り返すチャンスも出てくるだろう。結果次第では切り返しの幅は大きくなる可能性は十分ある。

憲法改正による大統領への権力集中。

2016年12月に公正発展党(AKP)によって議会に憲法改正案が提出され2017年4月16日に国民投票が行われ承認された。従来の政治体制は議院内閣制で実質的な行政権は首相にあり、大統領のポストはあったものの象徴的存在にすぎなかった。国民投票の結果により行政権は大統領に移ることになり首相は廃止。裁判官や検察官の人事に大統領の発言権を認めるなど権力が大統領へと集中する体制となった。

選挙を控えた4月15日早朝(日本時間)にTRY/JPYは急落したが、国民投票の結果を受け週明けは急落前の水準とほぼ同じ水準で取引がスタートした。

ビザ発給停止。

10月8日に在イスタンブール米国大使館が米国入国の為のビザの発給を停止し、その報復措置としてトルコもアメリカ人に対してトルコへの入国ビザの発給を停止した。

これは、2016年7月のクーデター未遂事件でトルコ政府が首謀者と見なしているアメリカ在住のイスラム指導者フェトラ・ギュレン師の引き渡しを巡ってトルコとアメリカが対立していることに端を発する。8日は日曜日だったため週明けにはこの出来事を材料にTRY/JPYはオープン直後に2円近く急落した。

現在は米国務長官の訪トルコなどを控え双方が解決へ努力を重ねており、その行方は注目されている。

トルコリラ(TRY)は高金利なので買い方にとってスワップポイントは高くなると思われる。しかし、トルコ政府の外貨建て発行体格付はムーディーズでBa1、S&PでBBとなっており決して信用力が高いわけではない。政治的リスクが高い上に近隣にISやクリミア半島が存在し、その地政学リスクは非常に高い。それらのリスクをも見極めた上で投資することが肝要である。Let's TRY!!!

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高野 進吉 プロフィール

高野 進吉

1991年よりトウキョウフォレックス株式会社で為替スポット取引や先物取引のブローカーを歴任後、2006年より同社にて為替証拠金事業における為替ディーラーとして活躍。2015年より現職。
短資会社で身につけた為替に関する深い鑑識眼と、長年の為替ディーリング経験により、社内ではディーラーのパイロット(水先案内人)的な存在感を発揮する。

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